Geant4の中性子捕獲シミュレーション修正に関する論文がPTEPに掲載されました。

投稿していたGeant4の中性子捕獲シミュレーション修正に関する論文がProgress of Theoretical and Experimental Physics誌で掲載されました!
熱中性子捕獲が起こる2200 m/sという速度は、物質の熱運動の影響が無視できない領域です。そのため、Geant4内では熱運動している物質との相対的な中性子速度を用いて捕獲断面積の計算に補正をかけています。この相対運動を考慮する際に、(これはGeant4の物質定義的に仕方ないことですが)水分子中の水素原子を単原子分子のように扱ってしまっていることに原因がありました。
修正の結果、SKで測定できる濃度、捕獲時定数、水素捕獲の割合について観測とシミュレーションが一致するようになることを示しました。
これはSK-Gd開始以来AmBe線源で測定した中性子検出効率とシミュレーションが一致していない(シミュレーションが高い効率を示す)問題を解決するもので、またGd loaded waterを使った他実験(たとえば暗黒物質直接探索実験Xenon-nTの中性子vetoなど)でも必要な修正になると考えられます。

掲載版の論文はこちらのリンクから取得できます。

日野(現:KEK)

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