E525実験にもとづいた中性子-酸素原子核反応シミュレーションの論文がEPJ Cでアクセプトされました

水中でのニュートリノ反応の精密な予測に不可欠な中性子と酸素原子核の反応モデルについて研究した論文「A simulation model investigation of neutron-oxygen inelastic scattering and subsequent nucleus deexcitation based on experimental data」が European Physical Journal C にアクセプトされました。

兼ねてよりスーパーカミオカンデにおける超新星背景ニュートリノ (DSNB) 探索では、中性子と水中の酸素原子核の反応モデルに由来する大気ニュートリノ背景事象の不定性が指摘されてきました。DSNB発見に向けて小汐研究室では、この不定性を削減すべくRCNP E487・E525実験を遂行し、中性子と酸素原子核の反応について調べてきました。

今回の論文では、E525実験のデータ (Tano et al.) にもとづいて、Geant4で使用できるさまざまなモデルの検証を行っています。これまでにスーパーカミオカンデで用いられてきたモデル BERT (G4Cascade) はE525実験の結果と大きく異なる結果を示すこと、カスケードモデル INCL++ と原子核の脱励起モデル NucDeEx の組み合わせが最も良い一致を示すことを報告しています。

またE525実験と同じビームラインで行ったE487実験について、中性子フラックスについて修正が必要である可能性に言及しています。フラックスの規格化を除くと、 INCL++ とNucDeEx の組み合わせでE487実験で測定されたガンマ線スペクトルもよく再現できており、シミュレーションモデルは様々な中性子エネルギーでデータとの一致を見せています。

小汐研究室で取り組んできた「水中でのニュートリノ反応の精密予測」に向けて大きく前進した成果だと考えています。

論文へのリンク https://doi.org/10.1140/epjc/s10052-026-15355-2
プレプリント https://arxiv.org/abs/2506.14388
データ公開 (DMP) https://github.com/awahino/DMP_E525_nOsim

日野 (岡山 -> 現 KEK)、田野、小汐 (岡山大)、芦田 (現 東北大)

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